母親の育児不安解消における地域子育て支援拠点事業の効果 —利 用者アンケートを通じた測定と検証—

岡本 聡子

Abstract


本論文は、「地域子育て支援拠点事業」(以下、拠点事業)を利用する母親の育児不安を調査・分析することで、就園前の子どもを在宅で育てている母親の抱える「しんどさ」と、拠点事業の効果と課題を明らかにすることを目的とする。まず1章では、拠点事業が誕生した社会背景を、少子化や虐待予防の視点でまとめ、2章では、母親の育児不安に関する先行研究を概観した。3章では、育児不安に関するアンケート(25都道府県で拠点事業を実施しているNPOや行政を通じて各拠点の利用者に配布し、469人から有効回答を得た)をもとに、母親の育児不安に関する24の尺度について因子分析をおこない、6つの因子を抽出した。4章では、拠点利用前後での6因子および個別尺度の変化を分析し、育児不安の軽減のために拠点事業の果たす役割について論じた。本研究で明らかになったことは主に以下の4点である。第一に、拠点事業を利用している母親の育児不安について、「自信不足」、「体力・気力不足」、「情報・仲間不足」、「手助け不足」、「配偶者参加不足」、「安心不足」の6因子が抽出できた。第二に、6因子ごとに分類した尺度を積算する方法で不安要素点を算出し、拠点事業の利用前後の変化をみたところ、全因子で有意な改善がみられた。各尺度についても、24尺度中22尺度で有意な改善がみられた。第三に、その改善幅は「情報・仲間不足」「手助け不足」>「自信不足」「体力・気力不足」>「配偶者参加不足」「安心不足」の順で3つに分かれた。第四に、調査の結果から、拠点事業が「仲間づくり」、言い換えれば子育てを通じた人間関係をつくる援助によって、母親の育児不安を軽減する効果をあげていることが明らかになった。また、「自信不足」をはじめとした育児不安全体の軽減のためにも、母親同士および母親と地域の人々とのつながりをつくり出す必要があることがわかった。

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