大阪産品の地域ブランド化戦略-ワインを例として

浦城 均

Abstract


本研究では、大阪ワインの発展の可能性をマーケティング論的に考察する。「都道府県別醸造量推移」に示すように、1)大阪はかつて日本の代表的産地であったが、4位→4位→7位→6位と2000年代後半以降低下傾向であった。山梨は神奈川と1・2位を争っている。長野は7位→6位→6位→5位と上昇し大阪を追い抜いている。2)しかし、「大阪府の果実酒の醸造量の推移」をみてもわかるように、大阪は2013年に大きく回復のきざしにある。そこで、本研究では、(目的1)このようなポテンシャル(潜在力)をもち、かつて日本を代表する地位にあった伝統ある大阪ワイン復興のブランド化戦略を研究する、(目的2)現在は先進的地位にあり、振興政策が成功している例といってもよい山梨県と長野県の事例を参考にし、大阪の今後の政策を考える、ことをめざした。ブランドとは、商標、銘柄であって、信頼構築をし、リピートにまで至るものである。ブランドを構築することにより、リピートされることが企業や地域にとってのメリットとなる。大阪ワインの復活の方向性について、大阪の場合は、価格競争力と生産力に限界があるので、SWOT分析を通じて戦略オプションの検討を行った。その結果、大阪のSWOT分析をおこなうと、「弱み(Weaknesses)」と「強み(Strengths)」と「機会(Opportunity)」に特色があることがわかる。W(弱み)である「知名度、商品開発実績で依然弱い」等の点を、S(強み)である「交通アクセスの良さ」「全国2位の大消費地をもつ」「輝かしい伝統のある老舗」「最近は、ワイナリーや飲食店、地元や行政が注目し、努力を始めている」などの点や、O(機会)である「ワインそのもののブーム到来」「インバウンド増大のトレンド」「大阪人は食に関する意識が高い食文化のまち」「大阪人はお祭り好き、イベント好きである」「民産官学連携の機会がある、大阪は民間の独自の試みがユニーク」などの有利さで克服するという結論がでてくる。「大阪のワインブランド化の2段階戦略」このSWOT分析から、大阪の場合には、「機会」が大きいので、2段階戦略をとり、まず、域内需要をターゲットとして、「弱み」を「強み」「機会」で克服する戦略=関西域内需要から育てる戦略が考えられる。すなわち、(第1段階)【域内需要段階】として、大阪人の好む「食」や「イベント」の方向で強化すべきという可能性が見出される。1)大阪の食とのマリアージュ戦略、2)イベントによる観光化戦略、が重要で、これにより、まず生産量を伸ばし、さらにその後に、(第2段階)【域外・全国区・インバウンド需要段階】では、全国からくる交流人口をターゲットとした長野等の戦略も参考にしながら、全国ブランドとして確立することが想定される。さらに加えて、「機会(Opportunity)」と「強み(Strengths)」の組み合わせによるビジネスチャンスをつかむ戦略が考えられ、外国人観光客をターゲットにした観光利用によるブランドの確立も想定される。すなわち、【大阪の戦略】「大阪ワイン」というブランド化 (第1段階)域内需要=>イベント・食 (第2段階)域外観光=>インバウンドの観光利用で売る+産地整備「第1段階・域内需要戦略」では、食イベントと女性マーケットモデルとしてアンケート分析をおこなった。(1)まず、イベント戦略の事例として、「大阪ワイナリー協会」による「おおさかワインフェス2014」、カタシモワインフード㈱等や行政・NPOによる「カタシモ100年ワイン祭り」を調べたが、前者が3500人、23店舗、後者が2000人、24店舗で、いずれも予想を上回る大盛況であった。(2)「カタシモ100年ワイン祭り」におけるアンケート分析からは、1)回答した来訪者プロフィールは、女性が男性の約3倍、年齢は20代~40代が中心、地元柏原だけでなく大阪府下が多い。日頃からワインを飲んでいないのに来た人が多く、新規マーケットの開拓に効果が高いことを示す結果となっている。4分の1がリピート可能性、2)料理とのマリアージュ戦略では「大阪パスタににあう大阪ワイン」が一定の成功、粉もん料理にあうという意見が強く、素材がおなじ小麦粉であることから「大阪パスタ」というコンセプトで似合うワインというブランド化は有力である。3)情報源は口コミとネット。(3)これから、消費者への認知度向上戦略、ブランド想起機能「大阪パスタ+大阪ワインとの抱き合わせ広報、コラボ戦略、ITのメディアの利用が有効であろう。(4)しかし焼酎がたどった低価格路線に陥らないように、女性をターゲットにした集中化・差別化戦略が必要と思われる。「第2段階・域外需要戦略」では、観光とインバウンドモデルを考察した。(1)まずワインツーリズムとしては大きな可能性がある。(2)大阪は東京に次いで2番目の観光流動の人気都市であり、関西全体が観光資源の宝庫である。(3)そこで、大阪ワインとしては、外国人観光客の「大阪人気」、大阪のアクセスの良さ、世界的な「和食ブーム」及び甲州ワインの努力による「日本産ワイン」の評価、通天閣などでの「串カツ」など大阪もん食ツーリズム(新世界など)とのコラボ、加えて河内地域は、大阪、京都、奈良の観光人気を利用して、観光客を対象としたワインの販売、ブランドの浸透をはかり、一定の評価を得ることに注力する戦略が想定される。(4)先進の長野・山梨を参考に「イベント戦略」と「観光戦略」以外で行政が力を入れる場合の公共支援(モデル)は、大阪が今後学ぶべきは、両県がすぐれた「認証戦略」と「品質向上戦略」で、また長野は、教育戦略・人材開発戦略・クラスター戦略に優れるがこれも今後の課題だろう。

Full Text: PDF (日本語)