食品機能性プロモーションによる地域ブランド・6次産業化の成功メカニズム-兵庫・島根を事例として-

薮内 宏樹

Abstract


地域活性化のためには、地域の産品・地域イメージをアピールする「地域ブランド化」が有効であること、とくに地方においては、1次産品、すなわち農林漁業産品が中心であり、地域の生産者が単なる1次産業だけでなく2次・3次産業のプロセス、すなわち加工と流通・販売の機能もそなえる「6次産業化」が有効な手法といわれていること、消費者に直接接続する6次産業化では、川下機能を地域で行うことであり、顧客志向のマーケティングが重要となる。食品に身体に良い機能性という付加価値がついた「機能性食品プロモーション」は、まさにこの「6次産業化」による農業の高付加価値化、食品の高付加価値化である「食品の地域ブランド化」に大きく貢献できる戦略であるといえる。【1】(1)6次産業事業の分布は地方別には、近畿、九州、関東、東北。(2)6次産業事業の分布は県別には、北海道1位、兵庫2位。(3)トクホの企業分類は上位47社(5件以上)では大企業中心。(4)トクホの盛んな業種は食品会社+製薬会社であることをみた。そこで本研究では、6次産業化総合計画認定件数が地域別として最も多い近畿で、県としても全国第2位の認定数の兵庫県、また、機能性食品の先進地である中・四国地域で、最も早くから産業化に取り組んできた島根県の政策と成功事例について検証した。【2】「兵庫県」では、(1)行政計画としては、1)基本計画レベルでは「ひょうご農林水産ビジョン」2010年策定を10年間つくり、5年で中間評価。2)毎年のローリングすることをみた。(2)兵庫県の農業施策について1-「6次産業化施策」は以下のようになっていることをみた。(第1段階)2010(H22)年法律、2011(H23)年の国の動きに対応し、農+食を中心に認証制度をする。「県ブランド相談室」をつくり、外部の専門家も組み込んで対応。また、「ひょうご協議会」をつくり、県としての承認制度「ひょうご安心推奨ブランド」をつくった。(第2段階)6次産業化=農+商+流通、6次産業認定数90件となり、北海道についで全国2位となった。外部からも企業参入が活発であるオープンな風土である。(3)兵庫県の農業施策について2-「農のイノベーション施策」は以下のことがわかった。1)イノベーション補助「「農」イノベーションひょうご推進協議会」により農+学+サービス+新しい需要(成分抽出=食以外の工業製品(健康・福祉))を結びつける努力を開始。「ひょうごフードバレー構想」農+農業関係機関(大学、研究機関含む)による新商品、新サービスで、兵庫県の農林水産+全産業の活性化をねらう。【3】「香寺ハーブ・ガーデン」では、先進的な兵庫県において、すぐれた業績をもつ農のベンチャー「香寺ハーブ・ガーデン」をとりあげた。その代表である福岡氏は、上記の兵庫県プロジェクトでは、先輩格として指導の立場にたっている。実証分析により(1)生産と飲食経営(2)抽出装置の発明(3)不凍タンパク質の発見(4)兵庫県地域振興(5)夢前町山之内小学校廃校に伴う校舎の活用が明らかになった。【4】「島根県」では、以下がわかった。(1)島根県における農業政策(基本計画)は(政策1)新産業創出、(政策2)生産と販売・販路開拓・農商工連携/6次産業化、(政策3)地域資源の高付加価値化、(政策4)人作り、(政策5)経営安定化、(政策6)空間整備があること。(2)「健康食品産業化プロジェクト」から「機能性食品産業化プロジェクト」になった。(3)中国地域では島根県が機能性食品の産業化に最も熱心で、「産業技術センター」、「中山間地研究センター」が中心。(4)成果として合計35品目を商品化。①雇用創出効果169人増。②出荷額(直接経済効果):約16億円増となった。要因としては、産業技術センター、農業技術センター、中山間地研究センターとの連携体制が構築できたことが大きい。(5)「機能性食品産業化プロジェクト」の事例(例1)桑茶、ワサビ茶などお茶系。(例2)エゴマ。(例3)スパイス系。(6)機能性食品産業化プロジェクトの課題としては1)販路開拓2)生産量の安定供給がある。【5】「島根県奥出雲町」では、土地戦略の重要性がある。国家戦略特区「奥出雲来遠の里づくり」の2004年認定により3点の規制緩和の結果、地元企業から農業事業に参入。奥出雲町役場がプロジェクトリーダーとなり2008年から「横田国営農地再生プロジェクト」立ち上がる。奥出雲町農業公社が農地所有者と調整し、白紙委任として所有者から農地を借り受け、農業委員会を通じて特定の法人などに貸し出すことができるようになった。【6】「株式会社奥出雲中村ファーム」では、以下をあきらかにした。(1)獣が嫌う有機作物としてエゴマやトウガラシなどを選んだ。(2)「奥出雲町健康食品産業生産者協議会(MOHG(モーグ))」の立ち上げ。(3)出雲町の栽培面積は、2013年には約18.4haまで拡大した。(4)製品化の成功。(5)販路開拓について:販路は、食材にこだわりを持って取り扱っているところや、健康志向の高級品を販売する店舗に対するものが中心である。首都圏での展示会などイベント時に出展している。【7】以上から、成功する行政モデルとして、以下のような点が重要であることを明らかにした。1.認証戦略・・・消費者への訴求効果及び生産物の品質保証によるブランド化(エビデンス・ベース支援含む)、2.生産・加工面の高付加価値化・機械化支援戦略、3.販路開拓応援・川下戦略、4.マッチングと学習支援=イノベーション戦略-兵庫県、5.公的研究機関(公設試、センター等)支援モデル-島根県、6.土地戦略-奥出雲町、7.行政計画の工夫。【8】また、成功する企業モデルとして、以下のような点が重要であることを明らかにした。1.異業種(企業)の農業参入、2.既存農家にない技術=既存農家の枠組みからの脱却とイノベーション、(1)事例1-中村ファーム(+奥出雲町)=建設業からの参入、(2)香寺ハーブ・ガーデン=>ハーブ生産と飲食・加工業からの参入、3.農家を巻き込み拡大する組織化戦略=農家等へのインセンティブによるwin-win関係の確立、4.経営力-独自の理念と戦略の存在。

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