旧港再生モデルにもとづく港まち再生のイメージ戦略と地域マーケティング

松本 英之

Abstract


(1)本研究では、まず国内成功例(横浜、神戸、門司)の事例分析をもとに、旧港=新港のまちづくりのモデル化をおこなった。これから「旧港・旧都心・新港・新都心分担モデル」が得られる。前近代の港=>旧港(=近代の発祥地)=>新港へ物流機能移転(スーパー港湾化、コンテナ化)=>旧港は一時衰退=>旧港が観光地化で再生となる。この結果、これから重要となり、必要とされる「旧港再生のためのモデル」を以下の4つにまとめた。(旧港再生モデル1)旧港再生のための創造都市的戦略(アートや歴史を活かして雰囲気をつくる):旧港には古い歴史・文化が残っており、その個性を活かすことがもっとも優れた戦略である。アートや歴史を活かすということは、創造都市戦略である。横浜は「クリエイティブシティ・ヨコハマ」、神戸は「デサイン都市神戸」、門司は「門司港レトロ」などである。また、「水・港・船」のイメージ戦略ともつながってくるが、これについては、マーケティング理論から後章で検討する。(旧港再生モデル2)旧港再生のための回遊性・モビリティ向上戦略:旧港地域は、もともと、物流の機能に純化した地域であり、人間の移動、特に公共交通は弱いか存在していないことが多い。したがって、旧港の再生を考える場合のもう一つ解決しなければならない課題は観光の「足」である。この回遊性が弱い点は、観光開発をする上で致命傷である。この弱点を克服するために、個人公共交通ともいうべき、超小型モビリティ、すなわち2人乗り程度の超小型EVを導入するところが増えてきた。これは国交省が、導入の促進を進めているものであり、3成功事例すべてで導入されている。(旧港再生モデル3)旧港再生における港湾行政と都市計画行政の融合の必要性:もともと旧港地区は港湾法の臨港地区なので観光・都市計画行政でない。しかし観光や創造都市政策は都市行政なので、旧港地区を観光や創造都市政策で再生するためには港湾行政と都市計画行政の調整・融合の必要が常に生じる。(旧港再生モデル4)旧港再生のためのコミュニティ理論(地元中心の着地型観光をめざす):なぜ旧港は地域再生のてがかりとして有望なのか?それは古いコミュニティがあり、地域愛があるので、後は新しいアイデアを受けいれる開放性があれば、現代的なソーシャル・キャピタルが豊富な地域だからである。また、民間企業が主体となる地元型観光=着地型観光がこれからの流れであり、そのための着地型組織が重要となる。さらに、海外の旧港の活用も、シンガポール、カナダの例で考察した。(2)したがって、これからは、「旧港の観光化・再生」が大変重要となる。これらをもとに、SWOTやマーケティング理論の手法もふまえて、大阪では築港にあたる旧港のこれまでの筆者のまちづくり活動の成功例を位置づけ、さらに今後の戦略を策定した。(3)旧港は、埠頭工場倉庫エリアであるから、(旧港再生モデル1)にしたがって、イメージ転換戦略「海、港のイメージ再生」が重要となる。(4)また、最近の観光開発のトレンドから、(旧港再生モデル4)にしたがって、旧港の再生は「地元主体」でおこなうべきニューツーリズムと着地型観光なので「地元組織」の設立が重要となる(「港まちづくり協議会大阪」)。(5)以上の旧港再生モデルと地域イメージ戦略から、これまでの筆者の地元での天保山まつりの試みの成功が、(旧港再生モデル1)歴史文化・船イメージ、(旧港再生モデル4)地元主体の条件を満足していることで説明される。(6)今後の課題としては、(旧港再生モデル2)(旧港再生モデル3)が課題といえるだろう。これらをふまえて、今後の大阪港再生のグランドデザインとする。

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