「トワイライト世代」が必要とするオンデマンド交通都市−持続可能な新しい都市力を創造する−

吉田 弘明

Abstract


本研究は、「自立」と「介護」の間にある「トワイライト世代」が必要とするオンデマンド交通都市の条件、そのために必要な政策類型を論じようとするものである。【1】まず、日本の福祉政策では、「自立」と「介護」の間には非常に長いグレーゾーンがあり、政策の盲点となっていることを指摘する。これは、年齢(ライフサイクル)分類では「70代・80代」、保険分類では「半自立・要支援」に相当するものと定義する。老化に向かう第一歩は、特に足(交通手段)の問題が最初に訪れるのが大半であり、「健康」なら自分で車を運転できるが、「半自立」は原付三輪車か小型車(軽または小型モバイル)でないと難しい。老いの最初の問題は足からスタートする。【2】これら課題を解決する今後の政策として、「オンデマンド交通都市」の構築を提唱した。全国的にあるような、路線バス撤退や三世代家族・核家族の崩壊による独居世帯の交通難民を救済する為の交通対策ではない。「トワイライト世代」の要求から発想した新たな「オンデマンド交通都市」の必要性を論じる。【3】オンデマンド交通への社会からの要求として、1)交通弱者対策、2)効率とサービスの向上などがあり、オンデマンドのメリットとして、1)サービス改善(ドア・ツー・ドア、ルートの自由性、時間の自由性)、2)効率化=「空気を運ばない」、3)データ収集効果などがある。【4】交通モデル:オンデマンド新交通システムの分類論は、既存の分類(国交省中部局など)が大変細分化され複雑である。また時間の自由度と空間の自由度は相関しているので、まとめられるはずである。そこで、新たに、2つの観点(できるだけわかりやすい少数の本質的区分け、3類型程度に大きくまとめ、ミーティングポイントに行くか、自宅へ迎えに行くかの差はまとめる)から、簡単な4つの交通システム分類モデルを導き出した。(0型)定時・定時刻路線型(出発地・着地固定)、(1型)定時刻内・寄り道型(出発地域内限定自由・着地固定)、(2型)定時間内・寄り道 セミ・オンデマンド型(出発地自由・着地重要目的地)、(3型)時間自由フル・オンデマンド型(出発地自由・着地自由または重要目的地)。【5】オンデマンド交通の事例研究としては東京都文京区、香芝市、北本市、加須市、浜田市、オンデマンド協働システムとして千葉市を調べた。【6】デマンド型乗合交通の利用者の発着地構造の分析の結果以下が分かった。乗降場所状況では、1)乗降場の特徴は、病院が1位、これに駅や、公共施設、買い物場所がつづく。2)降車場所の上位が病院である。3)しかし病院は乗車場所としての利用が少ない。理由は、病院は帰りの時間が想定しにくく、帰路は公共交通機関や家族の送迎を利用していると推定できる。4)乗車場所にマンションや団地が入る。5)時間的には、朝の利用が多い。年代別状況では、1)利用者は圧倒的に高齢者が多くどこも7割程度ある。その利用先が病院、次が駅である。2)これについで、保育や塾など子供関係の需要がある。【7】地域特性の類型化モデルとして以下を得た。「地域特性A」:都心「人口分布面的エリア+小地域+高人口密度」(例:東京都文京区)。「地域特性B1」:大都市圏郊外の中小規模自治体(面積が30〜50平方キロまで)。「人口分布面的エリア+小地域+人口中密度」(例:香芝、北本など)。「地域特性B2」:大都市圏郊外の大規模自治体(面積が50平方キロ以上まで)。「人口分布線・面的エリア+広域+人口低密度」(例:加須など)。「地域特性C」:地方山間部の自治体「人口分布線的エリア+広域+人口低密度」(例:浜田など)。【8】政策モデル:地域特性モデルから適切な交通モデルの対応を示す新たな地域政策モデルを得た。(政策対応モデル1)地域特性Aの自治体は、「大都市型でオンデマンド交通の対象外」であるので、「交通モデル0型」が適合しやすい。(政策対応モデル2)地域特性B1の自治体は、「郊外のコンパクト型に適合」するので、「交通モデル3型」が適合しやすい。(政策対応モデル3)地域特性B2の自治体は、「郊外の広域型に適合」するので「交通モデル2型」が適合しやすい。(政策対応モデル4)地域特性Cの自治体は、「中山間、谷間・渓谷型に適合」するので「交通モデル1型」が適合しやすい。【9】オンデマンド交通サービスが成功するための4つの法則として以下をえた。(1)地形の法則=面的な2型・3型と、線的な1型。(2)運行エリアの法則=30〜50キロ平方が目安。加須のような大きな自治体では、30〜50キロ平方単位のエリアに分割し、エリア内ではオンデマンド交通、エリア間ではシャトル的接続交通にする。(3)コストの法則=利用者1人あたり約千円。(4)人口密度の法則。【10】最後に、誰もが自立できる人生設計、オンデマンド都市の創造を提言する。

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