要旨
ALS 患者にとって,視線でコミュニケーションが非常に重要である.しかし,現在市販されている視線 入力コミュニケーションシステム中で安定した動作を行う製品非常に高価であることや,使用にあたりある程 度訓練を要することが原因で,多く機能を備えているシステムを有効に使えるようになるまでに諦めてしまう 方も多い.
本論文で,可能な限り低価格な環境上で正面顔視線が正面にあるか否かシンプルな ON・OFF 判 断を行えるシステムについて研究を行った.低価格な環境に組み込み Linux であるオープンソースハードウェ ア Raspberry Pi と専用カメラモジュールを使用した構成を採用し,視線認識が有効に行えるかを実験, 考察した.
視線認識について,正面顔が写った画像から顔,目頭,瞳孔を検出し,検出結果からカメラと距離と視線方 向を推定する.一般的なパソコン環境で作成したプロトタイプを Raspberry Pi へ移植して動作比較を行った ところ,同じ画像に対して処理時間に差あるが,検出結果完全に一致した.また,専用カメラモジュールを使っ た実験において,フル HD と VGA 2 種類サイズで実験を行った.結果として,フル HD やり認識ま で時間がかかってしまい違和感が残った.VGA 時間に関して違和感なかったが,距離が 0.5~1.0m ま で安定しているが,1.5m 離れると検出失敗が増える結果となった.こ結果から提案した低価格な環境におい て 1.0m 程度近距離であれ視線認識が十分行えることを示した.さらに,Raspberry Pi2 という新機種を使 用して度を計測し,Raspberry Pi と比較して 2 倍強結果が出ることを示した.