英国のリーディング・ウェル・プログラム ~認知症のための本の処方箋プロジェクトを中心に~

要旨

 認知症はどの国においても大きな社会的課題であり,地球規模で刻々と増加している。この社会的課題に立ち向かうためには,あらゆる領域からのアプローチが必要であり,図書館も例外ではない。本稿は,先導的な英国における図書館の認知症に関する取り組みとして,リーディング・ウェル・プログラムの中から「認知症についての本の処方箋プロジェクト」を取り上げ,図書館における認知症サービスについて考察を行うことを目的とする。  同プロジェクトを主導するリーディング・エージェンシーや,認知症に関する取り組みを実施しているサンダル図書館,ノーフォーク・アンド・ノリッチ・ミレニアム図書館を訪問し,インタビュー調査を行うとともに,収集した関連資料を調査し,その実態を明らかにした。また,同プロジェクトの課題として,(1) 推薦本リストの改訂頻度,(2) 推薦本の難易度,(3) プロジェクト名称の3点を指摘した。
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