RDAにおける音楽作品に関する規定

  • 古川 肇

要旨

音楽資料には様々な特徴がある。しかしながら、それらはさほど顕著ではないにせよ、 ほかの資料にも共有されている場合が少なくない。この事実は、音楽資料の諸特徴への対 処法を知るならば、その内容は他資料の目録作業に示唆を与えるのではないだろうか、と の推測へ我々を導く。もともと筆者は、音楽資料の目録法を全目録法のいわば先進地帯と 目してきた。例えば、RDAにおいて旧来の統一タイトルが初めて全著作に対して典拠形ア クセス・ポイントと名を変えて付与されることとなったが、これは音楽資料の分野ではつ とに実践されてきた方針が、漸くほかの領域に及ぼされたものと見ることができる。

本稿では、音楽資料目録法の方法・手法のいっそうの一般化を探るための予備作業とし て、旧来の標目に関する規定を更新したRDAの「第6章 著作および表現形の識別」におけ る、専ら音楽作品を対象とする規定群の読解を試みる。他方、旧来の記述に関する規定に は触れないので、タイトルと本文において「音楽資料」でなく「音楽作品」を使用する(「作 品」を「著作」と同義語として使用する)。

出版済
2014-03-17
セクション
論文