大学における地域子育て支援の現状と課題 -京都造形芸術大学芸術文化情報センターピッコリー(こども図書館)の 取り組みを中心に-

要旨

1996年中央教育審議会が打ち出した「生きる力」は現在も学校教育の根底をなすものと して学習指導要領の中心となっている。しかし、この「生きる力」は学校教育から始まるもの でも、学校教育で完結するものでもなく、家庭や地域社会と連携した教育が必要とされている。 また、子どもの発達にはそれぞれの発育に合わせた「遊び」が重要であることも先行研究で発 表されている。しかしながら、地域社会に於いては子どもの主体的な教育及び「遊び」を受入 れる場所は数多くは無い。更に、妊娠中又は3歳未満の子どもの育児中の母親は、「社会から隔 絶され、自分が孤立しているように感じる」という社会に対する不安や不満を訴えている。一 方、大学では地域貢献が求められ、施設や講座等の一般開放の様な活動が広がって来ている。 本稿では、大学で行っている子どもや育児中の保護者に対する支援及び活動について取り上げ、 その中でも特に京都造形芸術大学芸術文化情報センターピッコリー(こども図書館)の取り組 みに注目し、子どもや保護者を中心とした「場所」の提供の重要性を再確認する。
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