公共図書館における障害者サービスについての一考察 : 障害者自身の読書権への視点から

要旨

公共図書館は誰 もが 自由に 利用 できる 最も 身近な 図書 館で あり、すべて の人 を対象 とし て図書館サービスを行っている。しかし 1970 年頃には視覚障害者が公共図書館を利用すること は難しく、視覚障害者自身によって「視覚障害者読書権保障協議会」(略:視読協)という団体が 設立された。この団体は公共図書館に対して障害者も本を読む権利としての“読書権”を持ってい るということをアピールしていき、障害を持つものも公共図書館を利用する権利があるというこ とを図書館側に明確に打ち出した。現在では公共図書館においては、障害者サービスとしてさま ざまな利用サービスがあるが、今日の障害者サービスは障害者自身が自ら読書する権利として公 共図書館に利用要求してきた 結果 と考え られ る。 本稿では、1970 年頃に視覚障害者自身が公共図書館に図書館利用を求めていった背景に、障害 を持つ当該者自身のなかで“読書をする権利”というものがどのように捉えられていったかを考察 する。
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