近代礼法書における図書館マナーと甫守謹吾

要旨

甫守謹吾は,明治後期から数多くの礼法書 を輩出した礼法教育者であり,早 くから 礼 法 書 に図書館を取り上げた人物である。本論文は,甫守の手による礼法書を分析するこ と に よ って,甫守が礼法書を通じて図書館マナー教育に果たした役割について考察するこ と を 目 的とする。また,甫守による礼法書における図書館に関する記述の変化を明らかに する。 その結果,甫守は図書館に関する記述のある礼 法書を最も多く編著しただけでな く,礼 法 書 に 最も早く図書館をとりあげたことが明らかになった。量的・先見的双方において, 礼 法 書 を通じた図 書館マナーの教育に大きな役割を 果たしたものと考えられる。 また,甫守による礼法書における図書館に関する記述を分析することによって,(1)「ふ るまい」に関する記述,(2) 海外の図書館に関する記述,(3) 図書館に関する独立した記述 に お い て,変化が みられることが明らかになった。
PDF