インターネット環境における情報量と情報連携手法についての考察と提案 ― センサーネットとのマッシュアップを対象として ―

要旨

 ICTの発展は我々の社会生活に大きな利便性をもたらしてきた.とりわけネットワークおよびインターネットに関するこの15年あまりの変化は非常に大きなものがあり,そのような環境下でインターネットを中心とするメディアにおいて流通情報量の急激な増加と消費情報量の格差には検討すべき多くの課題が内在しているといえる.常に進化し続けるインターネットの世界においては新しいサービスやコンテンツによって流通情報量は日々増加し続けていくと思われる.インターネットにおけるWWWとは,ハイパーリンクという概念により様々な情報を結びつけ,情報共有を容易にすることを目的として生み出されたものである.しかし当初の目的はその後,世界規模の巨大な情報発信・広告媒体へと変貌し,更には商取引や分散システムの基盤へと変化してきている現実がある.このような環境では,Webの情報量の急激な増大,情報の氾濫の中で必要な情報の検索が逆に困難となる,また生かされないといった状況が表出してくるようになった.  本論文では,インターネットとその情報流通を対象として情報連携手法についての考察と提案を行う.情報連携手法として現在提供されている様々なWeb APIを利用したマッシュアップを活用し,幾つかのアプリケーションを開発・実装したモデルを構築する.提案のコンセプトとしては,いわゆるインターネットと,それ以外の独立したネットワークとしてセンサーネットワークを対象とする.センサーネットワークは様々な場所で様々な情報を取得・連携することが可能であり,そしてその情報はある目的をもって収集されたものであるということができる.そのため実験ではマッシュアップのモデルとともにセンサーネットワークを用いることとする.この実験はセンサーネットワークで得られた情報と種々のインターネットサービスによる情報連携の効果を確認することを目的とする.
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